イレニアグーラは、ポーランド語で「鹿の山」という意味です。
私がブロツワフ・コペルニクス空港から、大学の迎えの車に乗って二時間ほどのこの町に向かう途中です。なだらかな山や畑に美しいポーランドの黄金の秋が訪れていました。その風景の中、二頭の鹿が立ってこちらを見ているではありませんか。とても不思議な気がしました。「鹿の山」に向かう私を迎えてくれた素敵な鹿たちのウエルカムでした。
到着した日、さっそく夕方日本語学生たちとミーティングをしました。10人が待っていました。翌週の金曜日4時45分から1時間半、一回目の授業をしました。参加者は16人で、大学生の他に、社会人や中学生、高校生もいました。教科書は「まるごと入門A1 かつどう」です。「ひらがな」の書き方を教え、手製のひらがなフラッシュカードも使いました。日本から持参した、昔の「かな手習い帖」「漢字手習い帖」を見せて仮名の歴史について紹介しました。みな興味津々でした。
イレニアグーラを散歩すると、町のシンボルの鹿の彫刻をいたるところで、見つけることができます。私の住んでいる大学の寮の近くにも、無線をしている鹿の像が道端に立っていますし、町のカフェの一角には、コーヒーを飲む鹿の像があります。
この町はかつてドイツ領だったので、ドイツの伝説も語り継がれています。街角で、樹の精や山の怪物などのイラストが描かれた看板を見つけたので写真を撮っていると、通りがかりのお兄さんが、ポスターに書かれているお話について、説明してくれました。これは、ドイツの昔話で、このあたりの山には、昔から恐ろしい山の妖怪が住んで人々が怖がっていたけれど、今では人々の守護者になって、親しまれているとのことです。
