第2回ジェロナグーラ便り
ジェロナグーラ大学
赴任教師 Y.K
■曇天の続くポーランドの冬:
-10月から11月上旬にかけて続いた短い金色の秋(Goldan Autumn)の美しさもすぐに終わり、11月に下旬入ってどんよりとした日々が続いています。気温も一段と下がって、朝の気温が零度を下回る日が増え、初雪が降りました。駆け足で本格的な冬の到来です。ある学生が言っていました。ポーランドの冬は、9割方どんよりとした曇天が続くので、一日太陽が見えなくても当たり前だそうです。我々は太陽が見えない日が続くと、なんだか陰鬱な気分になってきますが、こちらの人たちには冬はそんなもののようです。
-暖房がようやく入って、部屋の中はホカホカと暖かです。買い物や授業などで外に出かけ時も、キルティングのアノラックにこちらで購入した毛糸の帽子と手袋をしているので、寒さは感じません。大学まで10分ほど歩いて行くと、むしろちょっと汗ばむ位です。大学の校舎に入ると教室も廊下も建物全体が集中暖房で温かく、教室の中での服装は、秋に初めて教壇に立った時の服装と全く変わりません。特に夏服と冬服を変える必要がなく、夏来ていたものの上に冬は外出用の防寒具を重ねて着ればそれでOKです。
-先日市内のメガスーパーで、冬用の外出用の靴を一足買いました。靴だけは、夏用と冬用の違いがはっきりあります。夏は普通の運動靴で大丈夫ですが、冬用の靴は雪や氷でも滑らないように、靴底の滑り止めが深いものでないとダメです。こちらは雪はそう降らないし、降っても積もって融けないことはないですが、歩道は古いブロック作りが多く、普段でも凸凹しているうえに、雪が降って凍ったりするととても滑りやすく危険です。
-もう一つ季節感が感じられるのは、スーパーの品ぞろえの変化です。フルーツ・コーナーはイチゴやベリー類が姿を消し、リンゴやオレンジ類が増えて、何と柿が売られていました。魚売り場には、クリスマス頃に食べる“鯉”が見られるようになり、ソーセージや燻製肉の特設売り場も登場しました。人々の気分はクリスマスに向けて次第に盛り上がってきています。
■日本語の授業の様子:
-日本語の授業も9週間が過ぎ、出席する学習者もほぼ定着してきました。といっても今回は学習者の減少があまり見られません。入門者の3クラスは、最初の登録者が合計で44名でしたが、9週間を終えて脱落したのは5名のみで、39名が継続しています。また経験者クラスも、2クラス32名のうち26名が継続しており、脱落したのは6名のみです。この理由の一つは、学習者のうち三分の2が大学生以外であることと関係していそうです。大学生は、12月になると他の選考科目がかなり忙しくなり、宿題や試験の準備のため出席できない者が増えますが、社会人やティーンエイジャーは特にそういうことがなく、一度スケジュールを決めたら継続して出てきやすいのでしょう。
-日本語の進捗状況は、入門者3クラスはひらがなを終了してカタカナに入るとともに、教科書「げんきI」の第1課を終了しました。今回の入門者は、ひらがなをじっくり時間をかけて習得させることにし、ワークブックのひらがな部分を毎回宿題に出して、8週間かけて終了しました(授業8回)。この後カタカナに6週間かける予定です。
-経験者の2グループは、第1グループ(1年経験者)は「げんきI」の7課まで終了、第2グループ(2年以上経験者)は「げんきI」の12課まで終了ということでしたので、最初の5週間(授業5回)は、学習者の力を見ることとこれまでの復習を兼ねて、「げんきI」の既習部分の文法と練習問題のレビューを行いました。この結果、それぞれのグループで個人的なばらつきはあるものの、既習文法がある程度定着していることが確認できましたので、6週目からは予定通り、第1グループは「げんきI」の8課から、第2グループは「げんきII」の13課から通常の授業に入りました。これと並行して、両クラス共「多読」の読み物を毎回1ストーリーづつ読むことにしており、更に宿題として毎回8文字づつ漢字の学習と練習問題を提出してもらっています。
-隔週水曜日に実施している「Japanese Club」は、前回報告してから今回までに、第3回:「日本の妖怪の紹介」(11月6日)、第4回:「アニメ“ピアノの森”の上映」(11月20日)、第5回:「日本の“碁”の体験」(12月4日)の3回を開催しました。クラブは日本語クラスの学習者を中心に、その友人や家族・知人等に広く開放しています。これまでの参加者は、第1回23名、第2回13名、第3回26名、第4回8名、第5回18名と各回ごとにかなりばらつきがありますが、毎回欠かさず参加している熱心な人も10名近くおり、次第に定着してきていると感じられます。日本語の授業だけでは物足りないと感じている学習者に、日本の文化の一端を紹介する良い場となっていると思いますが、役者が一人しかおらず、準備などにもかなり手間が取られることから、今後の開催に知恵を絞りたいと思います。
■第2回日本語教師連絡会:
-12月6日(金)10:00より、第2回目のポーランドに派遣されている日本語教師連絡会をオンラインで開催しました。今回は、12名派遣されている日本語教師の内6名と、オブザーバー1名の7名の参加がありました。前回諸事情で参加できなかった2名の新たな参加があり、それぞれの現地の状況報告を通して、活動の様子が良く分かりました。
―特に経験の豊富な教師からのアドバイスが、新任の教師の直面する問題解決の参考になると共に、ともすれば孤立しがちな派遣教師にとって、連絡会の場が情報交換と共に相互に刺激をし合うポジティブな交流の機会となることを願っています。
(以 上)
