着任

  9月12日午後、ベルリン経由でヴロツワフに到着。昨年12月に下見をしていたおかげで、スムーズに大学の宿舎に着く。事前に担当者に連絡してあったので、部屋にもすぐに入れた。宿舎は、ここの大学生たちも住む寮であるが、ICEAの教師の部屋には、テレビ、キッチン用品などすべて部屋に備え付けられており、毎週掃除、シーツ、タオルの交換までしてくれる。私は妻同伴なので、ワンルームの部屋にベッド、タンスを2人分入れてもらい、部屋が窮屈になったが、まあ長期のホテル住まいをしていると思えば耐えられるだろう。大学、宿舎はトラム駅がすぐ近くにあり、ヴロツワフ駅、バスターミナルも5分程度で行け、大変便利である。

 宿舎受付、事務所職員はほとんど50歳代で英語が通じない。彼らの世代の外国語教育はドイツ語、ロシア語であったそうだ。言葉が通じない場合、寮に住む学生たちに通訳をお願いすれば、たいてい何とか解決する。事務所から入居契約書等書類をもらい、すぐにヴロツワフ市民課に居住者登録をしておいた。もちろん日本大使館にもネットで在留届を提出した。電話はSIMフリーのスマホを持っていたので、プリペイドのSIMを買った。

 日本語授業は10月15日から始まるということで、約一か月の時間があるので、生活環境に慣れるため、毎日のように街に繰り出し観光したり、レストランで食事したり、近所のショッピングモールで買い物したりした。今後授業がない午前中や週末はよく外に出かけると思うので、トラムやバスが市内で何度も乗車できるよう定期券を買った。また買い物に便利なようにと銀行口座を開設しておいた。

  着任後ICEA担当責任者と会い、主に宿舎等生活全般について説明を受け、授業前には、もう一人の派遣教師とともに教務担当者と会い、クラスや教室、成績のつけ方等について確認をした。

日本語クラス

  私が担当するのは、2セメスター(1年)終了者。4セメスター(2年)終了者、6セメスター(3年)終了者の計3クラスである。各クラス週2コマ(1コマ90分)。もう一人の教員は、ビギナー3クラスを担当する。

大学は10月1日(月)から授業が始まり、日本語クラスはそれから授業登録が始まるので、授業は10月15日(月)からスタート。

  1. 2セメスター後クラスは、登録者18人(ポーランド人15人、ウクライナ人2人、ベラルーシ人1人)。10月末時点で全員授業に参加している。前任教師からの引継ぎを参考にし、まず『げんきⅠ』5課までの復習をし、教科書の6課から授業を始めた。学生の自己紹介では、剣道を習っている人や日本のロックバンドの音楽を聴いているとか、たこ焼き、お好み焼きが大好きだとか、それぞれ何かしら日本に興味を持っているようだ。今セメスターは休みも多いが、何とか8課まで終わらせたい。
  2. 4セメスター後クラスは、6人。ポーランドの4人の学生以外に中国人1人、台湾人1人(ドイツの大学院から来たエラスムス交換生)。教科書は『げんきⅡ』13課から。さすがに2年間日本語を勉強し、引き続き学び続けようという学生たちなので、学習意欲は高い。英語で説明しなくても、簡単な日本語を使えば、だいたい理解している。
  3. 6セメスター後クラスは3人。卒業生で今は現地のトヨタヨーロッパで会計士をしているポーランド人1人、ポーランド育ちの台湾人1人、中国人1人。日本語能力は高く、何でも日本語で通じる。前任者の報告と学生の意見を参考にしつつ、最終的に『中級から学ぶ日本語』を学ぶことになった。今のところ1週間2コマで1課進めるほどの理解力である。日本語能力試験N2なら合格できるレベルか。

   私はヴロツワフ経済大学で知り合った4人の高崎経済大、東洋大の日本人交換留学生に協力を頼み、たまに授業でアシスタントをしてもらうようにしている。 その関係か学生たちも同世代の日本人学生と知り合えてうれしそうで、日本の食べ物や音楽の話をしたり、たまに一緒に食事に行ったりもしているようだ。これも日本語学習の動機付けになることだろう。

その他

  1. 10月26日にヴロツワフ経済大にドクター論文を提出したアメリカ人の日本語能力審査を行った。東京に住んでいて、年に2回この大学で非常勤講師として集中講座を行っている方だ。無事論文もパスし、Phdを取得する見込みだ。
  2. エラスムス(欧州の留学制度)学生用のポーランド語授業に参加させてもらっている。若くて、言語に関連性もあるヨーロッパの学生たちと学ぶのは大変だが、頭の刺激にはなっている。少なくても宿舎の職員とあいさつぐらいはできるようになり、対応も若干よくなった感じがする。またエラスムスの学生たち向けのヴロツワフ一日観光にも2度参加させてもらった。今後、オペラ、コンサート等にも行くらしい。