2025年6月3日

第8回ジェロナグーラ便り

ジェロナグーラ大学

小 山 良 夫

緑濃い季節:

-周囲を森に囲まれたジェロナグーラでは、最近木々の緑も一段と濃くなって来て、アパートの窓から眺める景色も、冬の枯れ木の林とは一変して、緑色が目に痛いほどです。

-日本語授業のない金曜日を利用して、5月9日(金)と5月16日(金)に、市内の音楽学校に付属した小学校に招かれ、7~8年生15名づつを対象に、特別出前授業を2回ほど行いました。内容は「日本の紹介」と「折り紙ワークショップ」で併せて90分ほどでした。まず子供向きに作った日本紹介のPPTを使って、約45分間日本の概要を紹介し、その後「折り紙ワークショップ」を約45分間行いました。皆で「かぶと」「風船」「折り鶴」などを折って楽しい時間を過ごし、生徒のみならず4~5名の見学者の先生方にも喜んで頂きました。

-昨年の秋に一度行ったことのある郊外の民俗博物館を、5月25日(日)にもう一度訪ねました。バスに乗って約30分、郊外の林の中の道路沿いにあるバス停から10分ほど歩くと、見覚えのあるゲートが見えてきました。当日は日曜日でちゃんと開館していました。この博物館は、18~19世紀頃の古い民家が20戸余り立ち並び、一つの村が再現されています。がっしりとした木造の農家の中は、窓が小さいので少し薄暗いですが、床板が張られ、居間や食堂、寝室が再現されていて、快適そうな当時の生活が感じられました。2時間ほど農家や仕事場等を一軒づつ尋ねて、当時の村人の生活を想像した後、バス停まで戻って、近くの広場で毎週開かれているというファーマーズ・マーケットを見物しました。そこでアイスクリームと一切れのケーキを買って食べたりして、田舎の休日を堪能しました。

-その後、見学者であった一人の女性から、自分の子供が通っている高校でも同様の授業をやってほしいと依頼され、5月30日(金)に同様の出前授業を、14名の高校生を対象に実施しました。今月は予期せぬ特別出前授業が多く、かなり忙しかったです。

-この他、日本国大使館からかねて依頼していた書類が届いたとの連絡があったので、5月11(日)-12日(月)にかけてワルシャワに出かけ、その書類を受け取ってきました。ワルシャワまでは片道列車で4~5時間かかりますが、同じ座席にずっと座り詰めなので移動は結構苦痛です。しかし他方で、久しぶりに大都市の雰囲気を味わうことで、リフレッシュになるという利点もあります。

日本語の授業及び関連活動:

-6月に入り、もう授業も各グループ3回づつを残すのみとなりました。今学期は授業登録者が59人と前期の登録者78人から約4分の3になりましたが、皆熱心な学習者が多く、最終的に40名が修了証書を受け取ることができそうです。(全授業30回の内、20回以上出席したものに修了証書を発行します。)これは通年で見ても5割以上、後期だけで見ると68%という高い修了者率になります。A, B, Cグループの初心者クラスは、35人中21人が修了(約6割)、D, Eグループの経験者クラスは、24人中19人が修了(約8割)と、上級クラスになるほど修了率が高く、授業に熱心であったと言えます。

-各グループの授業の進捗状況は、主テキストの「げんきI、II」については前回の報告で述べましたので省略し、今回は副教材について少し報告します。A, B, Cの初心者グループは、会話の副教材としてオンラインの「つなひろ(つながるひろがるにほんごでのくらし:文科省)」を使用しました。これは、レベル0:便利なフレーズ(全6回)、レベル1:(全11回)を終了してレベル2に入ったところで、毎回授業の最初に15~20分程度を使って、会話の練習を行いました。経験者Dグループ(経験1年)は、オンラインの多読教材から選出した読み物を、毎回授業の初めに15~20分使って交代で読む練習をし、最後の4~5回は、「日本のおはなし(主婦の友社)」の物語を交代で読む練習をしました。経験者Eグループ(経験2年以上)は、授業の最初に読み物として「日本のおはなし(主婦の友社)」の物語を8話ほど、交代で読む練習を継続しました。少しレベルは高いですが、名作物語を理解する楽しみを味わって欲しいと思って続けました。

-またA~Eのすべてのグループの学習者に、レベルに応じた漢字の宿題(「Kanji Look & Learn : Japan Times」とそのワークブック)を毎回渡して、翌週に提出してもらう方法を取りました。これは、提出する者としない者とがかなりはっきりと別れましたが、毎回提出した学習者は、40名の修了予定者のうち25名で、ほぼ全てが成績優秀者です。このことから、漢字に興味を示して宿題を自主的に提出した者は、おのずと授業にも熱心に参加することとなり、日本語の上達も進むようになったことが分かります。

-日本文化を紹介するという目的で始めた、“Japanese Club” は、年間を通じて隔週に1回のペースで進めてきましたが、6月4日(第13回)をもって終了となります。これまで「折り紙(2回)」「妖怪」「アニメ映画(ピアノの森)」「囲碁(2回)」「書道(2回)」「俳句(2回)」「日本紹介」「ポーランドでの経験報告(2回)」と、私個人で紹介できそうなテーマを続けてきましたが、出席者の多い回少ない回の波があり、平均約14名の参加者がありました。日本語教育から一歩広げて日本文化の紹介を試みたつもりですが、何分1人の力には限界があり、一定の効果はあったと思われますが、更に工夫の余地がありそうです。 (以 上)