新学期が始まってから、1か月余りが経ちました。
9月は新しい環境で授業を進めることに精いっぱいでしたが、10月に入り、学生たちの顔と名前も少しずつ覚えてきました。最近では、黒板に文字を書いているときにも、声を聞くだけで誰が発言しているのか分かるようになり、そんな小さな変化を嬉しく感じています。
スピーチや作文をとおして学生一人ひとりのことを知る機会も増えてきました。それぞれが異なる経験や関心を持って大学で日本語を学んでいます。授業で日本語を教えながら、私自身も学生たちの話から新しいことを知るのが楽しみになっています。
授業以外の時間にも、学生たちと日本語をとおして交流する機会があります。日本語の会話練習のため研究室を訪ねてくれる学生がいたり、休み時間にJLPT(日本語能力試験)の勉強を一緒にするのが当たり前になった学生がいたりと、教室の外でも学生たちと日本語に触れる時間を持てることを嬉しく感じています。
そして、学生たちの何気ない優しさに触れることも多いです。教室が汚れていると、キッチンペーパーを持ってきてサッときれいにしてくれる学生もいます。また、ときには突然「先生、そのスカート素敵ですね!」と言われることもあり、こうした日常のささやかな交流にも心が温まります。
私自身、チェコ語も英語もまだ十分に使いこなせるわけではなく、思うように伝えられずにもどかしさを感じることもあります。それでも、学生たちや周囲の方々の温かい気遣いに触れる機会が多く、日々ありがたく感じています。言葉で正確に伝え合うことはもちろん大切ですが、相手を思いやる気持ちや何気ない行動からも、伝わるものがあるのだと感じています。
さて、大学での生活には少しずつ慣れてきましたが、チェコでの暮らしにはまだまだ新しい発見があります。
10月28日は、1918年のチェコスロバキア独立を記念する大切な祝日でした。チェコでは、この日、売場面積が200平方メートルを超える店舗は原則として営業できないことになっています。
事前にお店が閉まることは教えていただいていたのですが、以前暮らしていた国では祝日でもスーパーが営業していたため、「どこか一軒くらいは開いているだろう」と思っていました。しかし、実際に買い物に出かけてみると、近所のスーパーはどこも閉まっていました。買い物に行く機会を逃していたため、その日は買い溜めていたお米と日本から持ってきたふりかけで食事を済ませました。普段、当たり前のように買い物ができることのありがたさを思いがけず実感した出来事でした。
以前暮らしていた国とチェコを比べてみても、同じヨーロッパの国でありながら生活習慣や祝日の過ごし方にはさまざまな違いがあります。実際に暮らしてみて初めて気づくことも多く、こうした小さな発見も海外生活の楽しさの一つだと感じています。
赴任してから約2か月が経ち、学生たちの顔と名前だけでなく、それぞれの個性や日常にも少しずつ触れられるようになってきました。授業ではまだまだ試行錯誤の連続ですが、学生たちが自分の考えや経験を日本語で伝えてくれること、そして授業以外の時間にも日本語を学ぼうとする姿に触れられることを、とても嬉しく感じています。
これからも学生一人ひとりとの関わりを大切にしながら、日本語を学ぶ楽しさや価値を感じられる授業をつくっていきたいと思います。
また、私自身もチェコの文化や習慣について学びながら、この場所での生活を楽しんでいきたいです。
