ヴロツワフ経済大学

小 山 良 夫

■ヴロツワフのクリスマス・シーズン:

―ヴロツワフ地域は、シレジア(シロンスク)地方とも呼ばれて、ポーランドの中では最も冬が暖かくて、雪が少ない地方といわれていますが、それでも12月に入ると零下を下回る日々が続き、12月12日には初雪が積もって、白い世界になりました。

―積もった雪はすぐに溶けてシャーベット状になり、夜にはそれが凍って滑りやすくなって、普通の靴では歩くのが危険なので、冬用の底が深く刻んである靴を買いました。

―ところが、クリスマスが近くなると気温が次第に上がり、雪はすっかり解けてしまって、ホワイト・クリスマスを期待していた我々は少しがっかりでした。それどころか、今年の新年は+15℃と異常は暖かさで、まるで春の早い訪れを思わせる陽気です。

―11月半ばに町の中心広場に出現したクリスマス・マーケットは、その後も人々の格好のレジャーとして毎日のように賑わっており、子供連れの家族や観光客も夕方になるとキラキラと点滅するイルミネーションに引き付けられて、真夜中近くまで楽しんでいます。

■日本語の授業:

―日本語の授業は12月に入ってからも順調に進み、12月23日からのクリスマス休暇までには、各クラス18~19回の授業を終えて、初級は「げんきI」の教科書の3課までを修了しました。

―初級授業の参加者は、毎回15~10人程度と最初のころと比べて人数が大分減少してきましたが、これは毎年のことのようで、この頃になると熱心に勉強する者とそれ程でもない者との区別がはっきりと出てくるようです。授業では前回のクラスの欠席者に配慮して、毎回前回のレビューをやるようにしていますが、熱心な参加者を退屈させるわけにもいかず、なかなか難しい所です。

―中級は人数が2人と少なく、2人のレベルもかなり差があるので、異なった読み物を選んで別々に読んだり、Newsをそれぞれの興味を考慮して交互に選んだりして対応しています。文法は共通のテキストを使って初球のレビューをしていますが、ここではレベルの差はそう問題にはなりません。

-12月22日にはクリスマス休暇前の最終授業を終えて、学生たちはいそいそと実家に帰っていき、寮は急に静かになりました。新年の最初の授業は1月3日からスタートする予定です。

―10月12日から始まったポーランド語学習のクラスは、12月21日で9回目を終えました。エラスムスの大学生約15名と一緒に参加してきましたが、なかなか新しい語学を勉強するのは難しく、四苦八苦しています。この授業には日本人交換留学生4名も参加しており、週1回の授業の場は、彼らとのインフォーマルな交流の場にもなっています。

■文化的な活動、その他:

―ポーランド日本友好親善財団“波”の12月最大のイベント「クリスマス・パーティー」が12月17日(土)に行われ、50名近くの参加者があって、大変盛況でした。波に派遣されている日本人教師のM1先生、M2先生、M3先生(3M先生)と、ヨガのS先生に私も加わった6人の日本人グループは、出し物として「阿波踊り」の実演と踊りの指導を行いましたが、会場のポーランド人からも多くの踊りへの参加があり、大変好評でした。

―12月23日(金)からのクリスマス休暇を利用して、クラクフに2泊3日の小旅行を行い、昨年実現できなかった「ヴェリチカ岩塩坑の見学」と「アウシュヴィッツ強制収容所の見学」に参加することができました。特に真冬の雪の残る寒い季節に、アウシュヴィッツ収容所を見学し、そこで行われた悲惨な戦争犯罪の現場を直接見ることができたのは、貴重な体験でした。

―折からロシアのウクライナ侵攻から10カ月が過ぎ、一般人への無差別ミサイル攻撃が激しさを増しつつあり、イデオロギーにより頭の中に火が付いた自称リーダーたちによる野蛮な暴力が、100年を経ずして繰り返されていることを考えると、アウシュヴィッツの悲劇が単に過去の歴史の一コマとは思えない現実感を持って迫ってきます。

(以 上)