7月・8月

 ヴロツワフに来て早2ヶ月。7月6日(土)に到着。8日(月)には授業がスタートという、とてもタイトなスケジュールでしたが、NAMI財団の方、前任の先生方から事前にzoomやメールで引き継ぎをしていただいていたこと、また現地でもK先生が授業面、生活面の両方において大変丁寧に引き継ぎをしてくださったおかげで、何とかこちらでの生活をスタートすることができました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

【授業について】

夏休み期間は、子どもクラスはお休みです。(9月再開)

担当の大人クラス

◇夏期短期集中コース(7月・8月)各1グループ (月)~(木)全12回

◇初級クラス 週1回 (月)

◇コミュニケーションクラス 週1回 (木)        

 短期集中コースは、ひらがなの読みやテキスト「げんきⅠ」のあいさつ部分から始まり、基本はテキストを進めていく形ですが、学習者さんのリクエストも取り入れる柔軟なスタイルで行いました。同時に毎回ひらがなを書く練習も数文字ずつしました。練習した文字を使った言葉もいっしょに覚え、次のレッスンの最初にパワーポイントで作ったワードクイズをして定着を図りました。

 7月グループは、ゆっくりなら日本語で会話ができる方々だったので、リスニング練習を多くしたいということで、テキストからの素材や自作の岡山の名産についての紹介文を読んで、いくつかの質問に答えてもらう練習をしました。質問を事前に伝えると、聴き取りのポイントが分かり易いようでした。

 8月グループは、日本に行かれる機会が多い、またはこれから行かれる予定がある方々で、バス停・駅・ホテルで使える会話のロールプレイ練習などを行いました。

 週1の初級クラスも、秋に集中コースと合わせ1グループになる予定なので、テキスト基本の内容は同じですが、集中コースより人数が多いため、リクエストにはあまり応えられていないのが現状です。「もう少しこの練習をしたいので次回もお願いします」などのリクエストには積極的に応えていますが。

 3グループともブレイクタイムに学習者さんオススメの日本の歌を、ローマ字歌詞を見ながら歌う日もあります。皆さんとてもお上手で、楽しいです。

 コミュニケーションクラスは、日本人の私よりもたくさんの日本の文学作品を読んでいる学生さんもおられ、その知識に圧倒されます。最近では、暑さの話題から「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉が出て、お彼岸やお盆などお墓参りの時期の話に。こちらでは諸聖人の日にご家族でお参りに行かれるそうで、花やズニッチというろうそくで、いっぱいになった美しい墓地の様子を見せてもらいました。

【イベント】

 8月24日(土)に「波アイランド」というNAMI財団主催の一大イベントがヴロツワフのスウオドバ島で開催されました。合気道、空手、落語、阿波踊り、よさこい等がステージで披露されていました。こんなにもたくさんの方が日本の文化を深く知って愛してくださっていることに、不思議な感覚と感謝の気持ちが湧いてきました。

 日本語のO先生とK先生は美しいゆかた姿で「書道」のブースを担当され、私はオンラインコースのM先生といっしょに「どうぶつカルタ」のブースを担当しました。子どもたち(時には大人も)と動物のなまえを覚えて、いっしょにカルタを楽しみました。9月から担当する子どもさんにも数人会え、嬉しかったです。

どのブースもお客さんの切れ目がないほどの大盛況でした。皆さま、本当にお疲れさまでした!

【ポーランドでの楽しみ】

 こちらに着いて驚いたことは、とても緑豊かなこと。公園だけでなく街全体でたくさんの大きな木々を目にします。緑が大好きな私にとっては、とても幸せなことです。

 また、ポーランドには美しい教会もたくさんあります。時間を見つけてゆっくりと巡りたいと思っています。

9月・10月・11月・12月

 夏、秋、そして冬の到来。ポーランドの冬を少々恐れていましたが、今のところ外出時も、出身地の岡山の冬と同じ出で立ちです。1月はもっと冷え込むのでしょうが。

 あっという間にインターンシップ期間も3分の2が過ぎ、あと3ヶ月となりました。公私ともにやり残したことがまだまだあるので、気持ちが焦る今日このごろです。

【授業について】

 9月からは、子どもクラスが中心の授業スケジュールになりました。

担当の子どもクラス

◇コンプリートビギナークラス 週1回 (月) (木)

 ひらがなの読み書き、あいさつ、動物やからだの部分の名前、数字の読み方などが終わっています。習った言葉を使ってのビンゴゲーム、パワーポイントで作成したクイズやフラッシュカードで、定着を図っています。

 木曜のクラスは英語ができる年長の2人が、年少の生徒さんにポーランド語で通訳をしてくれるスタイルで授業が進みます。年長2人の負担や彼らがいない時を考え、学習する単語や簡単な指示語は事前に調べ、ホワイトボードやカードにポーランド語で書いておきます。ときどき生徒さんから発音のダメ出しがあり、何度も練習をさせられることも・・・。

◇学習歴1年弱のクラス 週1回 (火)

 ひらがなの読み書き、あいさつ、「こそあど」言葉の復習から始めました。現在テキスト「げんきⅠ」3課の動詞の活用(現在形)を学習中。3課からは、会話文のローマ字のふりがながなくなります。急に読めなくなり、内容も小学生には合わないので、音読練習は12月から日本の1年生の国語の教科書(NAMI所有)を使用しています。しっかり読めています。

◇学習歴1年以上のクラス 週1回 (水)

 習熟度が高いクラスです。テキスト「げんきⅠ」4課が終わったところです。動詞の活用(現在形・過去形・肯定・否定)もスムーズにできます。前任者の方がカードで教えておられた形容詞の対義語学習を引き継ぎ、数を追加しクイズやビンゴゲームで楽しみながら覚えています。

担当の大人クラス

◇初級クラス 週1回 (月)

 夏の集中講座のクラスと合体し、一時期大所帯になりましたが、今は習熟度が同じくらいの4名が残って学習を続けています。7月のスタート時には「日本語で言われても分からない。英語でもっと説明を(英語で)」と言われ、拙い英語で汗をかきかき説明をしていましたが、彼らの目まぐるしい日本語の上達と私の英語を理解しよういう気持ちに助けられ、楽しくコミュニケーションがとれるようになりました。年明けから「げんきⅠ」6課に入る予定です。

◇コミュニケーションクラス 週1回 (木)        

 新しいメンバーが2人増え、話すトピックの内容も変化が見られます。方言に興味のある高校生は、ときどき関西弁を話し笑わせてくれます。岡山弁についてのビデオを見て「何と言っているでしょう」のクイズをした日もありました。経済大学の先生に教えていただいた4コマ漫画を描いて日本語で説明するという企画もしました。皆さん絵も上手でびっくり!

【イベント】

 12月15日(日)にNAMI財団主催のクリスマスパーティーがありました。各同好会、クラスがそれぞれ出し物をしました。オンラインの日本語のM先生は流暢な日本語でポーランドのクリスマスについてプレゼンテーションをしてくださり、勉強になりました。日本語のO先生は書道の先生でもあり、皆さんの前で実際に大きな紙の上にダイナミックかつ美しい文字を書き、生徒さんも一緒に作品を制作され、すばらしかったです。私のクラスはいつもレッスンで歌っている「あいうえお」と「となりのトトロ」の歌を歌いました。トトロは歌詞カードも配ったので、観客の皆さんと歌え、楽しかったです♪

 それぞれの発表に力が入っていて、その熱さが伝わってきました。クリスマスの定番のウシカ入りのビーツのスープ「バルシチ」も美味しかったです!

【ポーランドの冬の楽しみ】

 やはりクリスマスマーケットです♪ ツリーの点灯日前からマーケットは開かれており、O先生、経済大学のS先生、I先生と楽しく訪れたり、またある日はふらっと一人で回ってみたりと何度か行きました。その雰囲気をただ歩いて味わうだけでも大満足。

 憧れのホットワインも、可愛いマグカップで飲めて嬉しかったです。2回目からはマグを持参し、違う味を味わってみたり、ヴロツワフのクリスマスマーケットを目でも舌でも大いに楽しみました!

1月・2月・3月

 『一月往ぬる二月逃げる三月去る』とよくいわれますが、日本にいないのに今年この慣用句を人生で一番実感したように思います。年末年始の旅行を終え「あと3ヶ月。まだ月日はある。いろいろとチャレンジして心残りのないようにしよう」と思って、右見て左見たらもう3月末だった・・・誇張ではない実感。信じられない「はやさ」でした。

【授業について】

担当の子どもクラス

◇ビギナークラス 週1回 (月・学習歴6ヶ月4名) (木・学習歴7ヶ月4名)

 ・ひらがなの読み書き

 ・カタカナの読み

 ・あいさつ

 ・動物やからだの部分の名前

 ・数字の読み方

 ・家族の呼び方(おとうさん・おかあさん・おにいさん・おねえさん・おとうと・いもうと)

 ・「いま何時ですか」「~時です」「~時半です」「~時~分です」(午前・午後も)の会話

 ・「何歳ですか」「~歳です」「あなたの~は(家族)何歳ですか」の会話

 ・カタカナの書き練習は(~ト)まで

 ・音読練習「いいてんき」「はなのみち」 ※日本の1年生の国語の教科書上(NAMI所有)より。

                                    以上が終わりました。

 習った言葉を使ってのビンゴゲーム、パワーポイントで作成したクイズやフラッシュカードで、定着を図ってきました。以前習ったことを忘れていることもあり、時々私からの「これはなんですか」の質問タイムを設けることも。

 木曜のクラスは英語ができる年長の1人が、年少の生徒さんにポーランド語で通訳をしてくれるスタイルで授業を進めていましたが、最近では指示は日本語とジェスチャーで伝わることも多くなりました。学習する単語や音読の文章の意味等は事前に調べ、ポーランド語でホワイトボードやカードに書いておきました。(急な時はGoogle翻訳の画面を見せる)。レッスン当初全てのクラスで歌っていた「となりのトトロ」の歌をこのクラスは気に入って、その後「さんぽ(トトロ)」「きみをのせて(ラピュタ)」とジブリ作品の2曲も続けて歌っていました。

 月曜日のクラスは英語が通じるので、私の拙い英語で説明や指示をしていました。(後半、指示は日本語になりました) 英語が通じる分レッスンの進みも速いので、木曜日クラスの進度に追いつきました。

◇学習歴1年強のクラス 週1回 (火)・4名

 ・ひらがなの読み書き

 ・カタカナの読み

 ・あいさつ

 ・「こそあど」言葉

 ・動詞の活用(現在形・過去形・肯定・否定)

 ・「~に~があります」「~に~がいます」

 ・いろいろな形容詞とその対義語

 ・カタカナの書き練習は(~フ)まで

                              以上が終わりました。

 テキスト「げんきⅠ(第2版)」を使用のクラスでしたが、第3課からは会話文のローマ字のふりがながなくなるので、急に読めなくなりました。内容も小学生には合わないので、音読練習は12月から日本の1年生の国語の教科書上(NAMI所有)を使用していました。「いいてんき」「はなのみち」を読みました。

※文法の説明や練習問題は「げんきⅠ」からの抜粋とワークブック(NAMI所有)を時々使用。(第4課くらいの内容まで進んでいますが、動詞の活用の習熟度は個人差があります)

◇学習歴1年半のクラス 週1回 (水)・2名

  習熟度が高いクラスです。動詞の活用(現在形・過去形・肯定・否定)、形容詞の活用もスムーズにできます。テキスト「げんきⅠ」第6課に入ったところです。今は日本語学習で重要な「て形」の学習をしています。「~てください」「~てもいいです(てもいいですか)」「~てはいけません」「~て、~します(2つの活動)」の演習をワークブックの問題でしています。(教科書「げんきⅠ」p.156,157の練習問題は済)

 カタカナの書き練習は(~ヤ)まで終わりました。

担当の大人クラス

学習歴9ヶ月のクラス 週1回 (月)4名

 勉強熱心で習熟度の高いクラスです。彼らの目まぐるしい日本語の上達と私の英語を理解しよういう気持ちに助けられ、楽しくコミュニケーションがとれるようになりました(「先生の英語も上達したよ」と言ってくれる生徒さんも)。第6課の「て形」もバッチリ習得しています。現在「げんきⅠ」第7課に入ったところです。会話練習をしたのち、「~している(動詞の進行形)」の説明をしました。

 漢字の書き練習は「げんきⅠ」p.303の「~半」まで終了。

◇学習歴3ヶ月のクラス 週1回 (火)・10名

  大所帯のクラスですが、雰囲気がよいクラスです。欠席による習熟度の開きが気になることも。

 ・ひらがなの読み書き

 ・カタカナの読み

 ・あいさつ

 ・数字・時間・年齢・値段の読み方と尋ね方

 「げんきⅠ」第2課の会話練習と「こそあど」の説明が終わったところです。これから「こそあど」の演習、カタカナの書き練習に進む予定です。

◇コミュニケーションクラス 週1回 (木)・2名でしたが4月より1名日本に留学予定                                 

 毎回生徒さんに「今週のトピックはありますか」と尋ね、あればその内容から話を広げる形で話をしていました。一応トピックのない場合も考えて、自分のトピックも用意しておきました。

【イベント】

 2月2日(日)に「節分」、3月2日(日)に「ひなまつり」のイベントがNAMIで開催されました。

 節分イベントでは、豆まきはもちろん、鬼のお面や節分にちなんだ飾りを作るワークショップと、恵方巻き作りが行われました。皆さんが吉方に向いて黙って食べている姿は、面白かったです(ごめんなさい)。柊に鰯の頭をさして玄関に飾ったり、節分についての説明をされているのを伺うと、私たち日本人より歴史や風習についてご存知なので、その知識に舌を巻きました。

 ひなまつりのイベントでは、コンサートがメインイベントの一つでした。波連(阿波踊り)の皆さんの演奏と踊り(お客さんも参加)、ポズナンから遙々来られたコーラスの皆さんの美しく力強い歌声、その団体を指導されている先生がNAMIでされているワークショップ(全7回)「うたいましょう♪」のメンバーの歌、先生方の感動的なお琴と歌。それらがコンサートを彩りました。

「うたいましょう♪」には、歌好きの私も3ヶ月間参加していました。集大成のコンサート、緊張しましたが、心に残る思い出となりました。

【ポーランドでの9ヶ月間を終えて】

 何度もいいますが、本当に終わってみるとあっという間に過ぎた9ヶ月間でした。本音をいうと授業は最後まで毎回緊張して慣れることはありませんでした。それは毎学期の切り替わりにメンバーの入れ替わりや、新しいクラスの追加があったのも要因かもしれません。ただ、生徒さん方との心の距離は徐々に近くなっていくのを実感。生徒さん方の助けと笑顔があったからこそ、9ヶ月間何とか乗り切れたと、感謝の気持ちでいっぱいです。緊張はしましたが、とても楽しくいろんな面で自分を鍛えてくれた貴重な時間でした。

 日本から飛行機で14時間以上もかかる遠い地ですが、ヴロツワフでの生活は気候も出会う人々のお人柄も、出身地岡山とそんなに大差はなく、違和感のない心地よい日々でした。日本が大好きな方々に囲まれていたことも大きいとは思いますが。

 ぜひまた、ヴロツワフを訪れて皆さんに再会したいです!きっと皆さんの日本語もぐんと上達されていることでしょう。楽しみです!帰国間近になり寂しくなった気持ちを、春の訪れを知らせる可愛い花々が癒やしてくれました。たくさんの心あたたまる出会いに・・・感謝!