2022年4月3日

3月に入り暖かい日が続き、3月27日には夏時間に切り替わっていよいよ春が本格的になるかと思いきや、4月2日には雪が降って寒い日に逆戻りです。この間、ポーランドでのCOVIDの蔓延は3月に入って落ち着きを見せ、3月末には公共の場でのマスクの着用義務も解除されました。しかし他方で、2月24日に突然始まったロシアのウクライナ侵攻は一層激しさを増し、3月上旬にはウクライナからポーランドに避難する人たちがピークに達して、1日数万人もの人たちが鉄道や自動車で国境を西に越えました。3月中旬までにはポーランドに流入した避難民の数は200万人を超えたといわれ、ウクライナ国境に近い当地は各国の報道関係者が避難民の取材に訪れるなど、にわかに脚光を浴びていますが、人々の日常生活は平常で、ほとんど影響は見られません。。

大学の日本語授業は、3月7日から対面授業で後期の授業が開始され、学期末の6月中旬まで13週間の予定で平常通り進んでいます。新規に学習者を再募集する案は中止となり、前期から引き続いて履修する学生約30名を対象に、Advanceクラス1、Beginnerクラス3の合計4クラスに再編成して、月曜日2クラス、木曜日に2クラスの週4クラス(4コマ)を実施しています。Advanceクラスは「ニュー・システムによる日本語」を教科書に18課まで進みましたが、20課終了時点で新規の内容を学習することを止め、これまでの授業をレビューして既習の学習内容の定着化を図ることにしました。Beginnerクラスは、「げんきI」を1課4週間のスローペースで進めてきたので、このペースを継続して6月の学期末までに第5課を終了することを目標にしています。学習者は既に半年の学習過程を経てきたので、いづれのクラスも比較的熱心な学習者が残っており、クラス授業における学習のリズムがほぼ出来上がってきたように思います。

Koi Koi Foundation(日本文化紹介グループ)の活動は、3月も継続して行われました。3月11日(金)には日本のアニメ映画を映画館と提携して上映する企画を実施し、細田守監督のアニメ映画2本「Elle(和名「竜とそばかすの姫」)」と「Mirai (和名「みらいのミライ」)」を一晩に2本上映して、観客約170名を動員しました。そのほか、毎週金曜日には、「囲碁の会」を継続して実施し、中級者6~7名に加えて初心者5~6名が通ってくるようになりました。また4月13日からは、私がインストラクターとなって、毎週水曜日に折り紙クラス(全8回)を実施する計画です。

3月6日(日)に、ICEA派遣ポーランド在勤の日本語教師オンライン連絡会(第1回)が開催され、12名の在ポーランド日本語教師のうち8名と、2名のオブザーバー(ウッジの吉田先生、東京のICEA代表辻さん)の合計10名が参加しました。当日は15:00から16:30の間、各自の日本語授業の状況報告とウクライナ紛争に伴う避難民の各地の状況等の報告が行われ、お互いの無事の確認と情報共有が行われました。今後派遣教師の横のつながりを利用して、様々な協力活動が行われることが期待されます。なお4月3日(日)には、第2回目のオンライン連絡会が開かれ、日本語教師7名と2名のオブザーバー(吉田氏、辻氏)が参加して、日本語教育の現況報告と下記「千羽鶴プロジェクト」に関する情報交換が行われました。

今回特筆すべき事柄としては、上記ICEAポーランド派遣日本語教師連絡会網を利用して、有志を募って「千羽鶴プロジェクト」を開始したことです。これは私が呼びかけ人/世話人となって、3月20日~4月19日の1か月間で、各地の日本語教師がその生徒たちに呼び掛け、ウクライナ和平を祈念して「千羽鶴」をウクライナ国旗カラーの青と黄色の2色で折って、完成品を在ポーランドウクライナ大使館に寄贈しようというものです。連絡会のネットワークを使ってポーランド派遣の日本語教師に呼び掛けたところ、ウッジ大学の秋山先生、ウッジ第2高校の平野先生、ポズナン外国語大学の近藤先生が賛同して下さり、私も含めて4人の日本人教師とその生徒たちの参加で進めることになりました。4月3日時点で、折り鶴の製作は順調に進みつつあり、4月14日~19日のイースター休暇の間に、日本人教師が折り上がった折鶴を持ち寄ってウッジに集合し、千羽鶴に仕上げてそれをウクライナ大使館に寄贈する計画でおります。

ロシアによるウクライナ侵攻に関連して、当地の様子を簡単に報告致します。国連難民高等弁務官によると、3月19日時点で国外に避難したウクライナ人は340万人、そのうち200万人以上がポーランドに流入したとのことです。その主な経路はウクライナのLivivから鉄道でポーランドのPrzemyslに出て、そこからポーランド国内及び西欧諸国へ鉄道、バス、自動車等で移動しているとのことでした。Przemyslから西方に約100kmの当地ジェシュフの鉄道駅に3月5日以降何度か行って見ましたが、駅構内は臨時の待機所となっており、200名ほどの避難民が荷物と共に次の移動先を待つ間滞在していて、地元のボランティアが無料の飲食物や物資、おもちゃ等を給付していました。少し混雑してはいましたが混乱はなく、駅の構内を一歩外に出ると、避難民の到着に伴う影響は全く感じられませんでした。

3月19日には、鉄道を利用して約1時間半の距離にあるPrzemyslに行き、現地の避難民の状況を見てきました。地元のNPOの方によると、避難民の到着のピークは3月の1~2週目で、それ以降は到着者数は減少してきているとのこと。それでもジェシュフ駅と同様に駅の構内には、待機している避難民の親子連れがかなりおり、ボランティアの人たちが飲食物や生活用品等の提供をしていました。駅舎の外には、大型バスが何台か駐車しており、行先の決まった避難民の人たちはそれらを利用してそれぞれの目的地に移動するとのことでした。しかしここでも、鉄道駅の構内を一歩出ると避難民の到着の影響は全く見られず、一般の人々の生活には直接の影響は出ていないとのことでした。

その他、3月25日にはアメリカのバイデン大統領がジェシュフを急遽訪問したりして、ポーランドの地方都市ジェシュフが一躍脚光を浴びることもありましたが、マスコミが報道するような避難民の急増に伴う混乱などもなく、至って平穏な市民の生活が続いていますので、ご安心下さい。

ポーランド国ジェシュフ工科大学にて、

小山良夫