ポーランド ヴロツワフ 報告10~11月            2019-11-6
 
先週サマータイムも終わり、セントラルヒーティングが部屋を心地よく温めてくれる季節となった。数々の愛らしい小人が足元で迎えてくれる街ヴロツワフ。この街の中央広場に初めて行ったとき、アルトサックスとアコーディオンの演奏「ケ・セラセラ」が背後から聞こえてきた。それは、まるで「何とかなるさ。身を任せてごらん・・」と私に向けて弾いてくれているかのようだった。その後、一つひとつのミッションをクリアし、1か月が過ぎようとしている。
着任して間もなくカタジーナ先生と日本語クラスに関する打ち合わせを行った。これまでは2人の教師が「初級」「初中級」をそれぞれ分担してきたが、今年から1人の教師が「初級」「初中級」を共に受け持つことになった。私は、初級1クラス(11名)と、2セメクラス(6名)、6セメクラス(4名)を担当する。学生の国籍はポーランド人が多く、ウクライナ人が4名、中国人と台湾人が1名ずついる。

初回の授業では日本語を使って何をしたいか学生たちに尋ねた。できるようになりたいこととして、アニメの鑑賞、日本旅行、日本人の友達を作る、東京オリンピックでボランティアをする、等の意見が挙がった。それぞれの自己実現に向けて、学生たちが主体的に学べるクラス作りを大切にしたいと感じている。評価は出席、セメスター終了前のテスト、随時行う小テスト、クラスへの参加度の4つに決めて学生に伝えた。
 すでに1課の「自己紹介」タスクを終えたので、自作した「自己紹介シート」を基に全てのクラスで日本人留学生5名との交流を図った。各クラスのレベルに応じたゲームを加え、6セメでは、新聞記事を基にしたディスカッションや俳句を詠んだ。後日アンケートに答えてもらうと、皆が色々な気づきを得ていることが分かり、次回への期待も書いてくれた。
 2セメのクラスには来春から日本の大学へ行くことが決まっている学生が4人いる。その為、人と人をつなぐ授業の展開も必要になると感じている。
 現在使用している教室の1つはプロジェクターの使用が不可であること、毎回受付で借りられる備品が一定していない等、予測しないことも起こるが、工夫しながら対応している。
 私は、着任後からポーランド語の授業を受けている。当初、ハリナ先生に「ついていけないかも知れません」と伝えると「心配しないで」と力強くハグしてくれた。先生のことばを信じ、最近は復習と予習を欠かさない。また、初級の学習者に対する指導の仕方も毎回参考にさせていただいている。
日本語クラスで初めて出席をとった時のことを思い出す。名前を呼ぶと暫く沈黙があり、「probably・・」と前置きをしてから自分であろうと思われる学生が次々と笑顔で手を挙げ答えてくれた。ポーランド語の表記が正確に発話できない私にとって、この学生らの優しい笑顔にどれだけ救われたことだろう。今後も初級クラスに限り、英語や習いたてのポーランド語も交えながらコミュニケーションを図っていきたいと思う。