☆12月~1月の報告
 1月末に、前期試験を終えた。事前に試験での鉛筆とボールペンの使用には一長一短あることを学生と共に考えて、本番の試験では鉛筆の使用もOKと伝えていた。すると、ほとんどの学生が鉛筆による記入を選択した。中には、日本のスタイルを試すために、わざわざ鉛筆を買ってきた学生もいた。
初級クラスの試験中、1時間近く停電するというハプニングが起きた。しかし、学生達は、私が受付に走る間にスマホのライトを手元に置きながら、黙々と試験に取り組んでいた。動揺したのは私だけだったのかもしれない。

・初級クラス
 6課まで学習を終えたが、試験は5課までの学習範囲で出題した。6課までの学習で、テ形を使っ2文を1文にすることが可能となり、テーマに応じた作文能力も身に付いた。作文を推敲する過程では、ピアラーニングで他者の作文の良い点をコメントし合った。話し言葉と書き言葉の違いや、ます形と普通形の混在にも意識が向いたところで学習を終了した。形容詞や時制、助詞を学習した頃から、自身の行動や心情を表現する力が飛躍的に伸びた。日本の大学へ留学することを決意した学生が1名いる。

・2セメクラス
 7課まで学習を終えた。2セメクラスには、半年後に日本の大学に留学する学生が3名いる一方で、カタカナや文型が定着していない学生もいたため、最終的に、もう一度1課から復習を重ねていく必要があると判断した。テキストと、毎回レジュメを補足して進めることにより、5人の足並みが揃ってきた。

・6セメクラス
 学生4名の意向を汲み、特定のテキストは使用せず、日本語能力試験対策のレジュメを作成して進めた。2名の学生は社会経験もあり、他にN1受験者も2名いることから、言語知識の習得に偏らず、場の状況に応じた表現力や言語運用能力を伸ばすことに注力した。

☆前セメスター全体の振り返り
  工夫した点として次の4点、今後に向けての課題が1点ある。
①全てのクラスで、机の配置をコの字型に変えて進めた。学生同士が互いに顔を合わせて対話をすることにより、1人ひとりがクラスを作っていく一員であるという意識が生まれたように感じる。授業後は学生たちが自ら机の位置に元に戻してくれる。
②セメスター開始時の個々の目標に対する達成度を図るため、試験終了時に自己評価の実施を試みた(1~5評価/4技能)。すると、3クラスともにwriting評価が特に高く、日頃の小テストと相関性があることも分かった。1人ひとりの目標も異なる為、満足度の高い学習環境を考える上で、1つの指針になると思う。
③テキスト「げんき」が場面シラバスなので、新しく導入する文型の難易度を考慮しなければならなかった。特に、初級クラスは視覚的に分かりやすくまとめ直して対応した。
④文化交流は、伝統文化の一方向的な紹介ではなく、ポーランド人学生と日本人学生の双方にとって関心のあることを学び合う機会だと捉えている。本大学は日本の3大学と交換留学制度があり、多様な学生が集まっている。毎回積極的に参加してくれ、国を越え、ことばを越え(若者ことばも飛び交いながら)、関係性も深まりつつある。1月末には、ポーランド人学生チームが「ポーランドの歴史」を英語で発表した。完成度の高いプレゼンに、初めて参加した地域の日本人らも感心していた。

 2セメクラスと6セメクラスは、最後まで出席率も高く人数減はなかった。一方、初級クラスは初回のみ出席し、その後一度も来なかった生徒2名と博士課程の学生1名を除く8名でのスタートだった。途中から2名が休みがちになり、他2名は試験1か月前まで来ていたが、後期でやり直したいと申し出る検討組が現れた。最終的に試験を受けたのは4名だった。初級学習者が、引き続き日本語学習意欲を維持していくためにできることは何かを検討していきたい。

☆その他
 地元の友人も増え、寮と大学を往復する生活から行動範囲が広がってきた。これまで見ることも聞くこともなかったポーランドの新しい一面を垣間見る貴重な機会となっている。1月には国際交流基金主催の研修会に参加し、評価について学びを得た。自身が携わる大学の実践と試験作成、そして評価に一貫性はあるか等、疑問を解消することができた。
寮の管理事務所によると、長期滞在者の場合は、細々とした日用品は、原則自己負担するとのことである。また部屋の清掃は、清掃スタッフが見つかるまでの間と聞いていたが、簡易的な清掃道具を調達して自身で行いながら現在に至っている。